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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第85章 白い景色と幸せ







ゆっくりと彼を見上げれば彼は大きな瞳を細めて懐かしむ様に岩場へ視線を向けていた


「うん、本当に似てる。」


彼は鼻のてっぺんを少し赤くしてマフラーを靡かせながら再び唇を開いた


「勘違いオヤジと雪だけの違いだよね。」


「ですね!」


只風の音が耳に騒がしい場所で私は場違いに声を弾ませた



彼との思い出は大切であたたかい

だけど其れと同時に切ない物だった

こんな寒い日は余計に胸が痛む


かけがえの無い日々は彼と二人お揃いの記憶


決して此方に視線を向けず只舞う泡を見据えた彼の横顔は今とあの日を重ねて見ている様で私はそっと目を逸らした




寒い寒い日に彼は突然目の前に現れて私の心を奪い


寒い寒い日に突然姿を消した



今彼が何を思っているのかは解らない

だけど私達は直ぐ隣に存在していて二人でまた思い出を紡いでいるのだと思えば何故か涙が溢れそうに成った




「雪、積もってるよ。」



柔らかい声と共にクスリと落ちる彼の笑み

私の頭に積もった雪を優しく払い除ける仕草に胸がぎゅっと切なくて


俯いてマフラーへ顔を埋めた





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