ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第85章 白い景色と幸せ
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私達は大量の昼食を見事消費して店員のお兄さん達に拍手を頂いた
彼は途中から頻りに「もう要らない。」「捨てれば良いじゃん。」なんて頬杖を付きながら心底ダルそうにしていたが
食い意地の張った私が食べ続けるのに渋々と付き合ってくれた
私だって本当はお腹がはち切れそうでギブアップしたかったが店員さん達の視線にそんな事は出来なかったのだ
本当に渋々と心底ダルそうだったがかなりの量を胃袋に消した彼
其のスレンダーな身体の何処に消えたのか全く持って不思議だが彼が本気を出せばあれだけ食べられるのだという新たな発見を出来た
パンパンに膨らんだお腹を擦りながらも苦しさとは裏腹に笑みが漏れる
彼が「宿に戻る前に行きたい場所があるから。」とデートのお誘いをしてくれたのだ
30分程走った所で静かに停車した車
看板も出ているしどうやら観光地らしいのだが冬場の、しかも雪の日に訪れる人物は私達以外に居なかったらしく
だだっ広い駐車場に降り立ったのは私達だけだった
新雪に二人分の足跡を残しながら進めば夏場の繁盛気を待つシャッターが下りたお土産屋さんが軒を連ねていた
「皆お休みなんですね」
「雪で商売どころじゃ無いんじゃない。」
「……大変ですね~……食べて行けるんでしょうか……?」
「他に本業があるんでしょ。商売だけでは無理だよ。」
「成る程………」
なんて他愛ない会話を交わしながら閑散とした道を行く
この場所も季節が良ければ人で溢れるのだろうか……なんて想像をして見れば今の静けさが耳に付いた
ギュッギュッと道を踏み締める音が私一人分だけ響く中
「到着。」
「………おわぁ…………!!!」