ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第85章 白い景色と幸せ
ニヤニヤと頬を緩ませながらもお刺身ならそのまま、もしくは丼に、貝なら網で浜焼きにしてくれるのだと説明すれば彼は単調に「ふーん」と呟いた
しかしその表情は物珍しさに輝き何処かあどけなく可愛い事この上無い
内心身悶え顔面はニヤニヤしながらも楽しそうな彼の注文を見守り続け……………
私達が料理を前にした時には色々と大変な事に成っていた
「…………普通こんな感じ?」
「………うーん………ちょっと多かったですね…………」
…………正確にはちょっと所か……かなり多過ぎる………
顔くらいの大きさがあるどんぶり鉢に馬鹿みたいに山盛りのお刺身
海鮮丼になり切らずそのままで食べなければいけなくなってしまった茹でガニ焼きガニや伊勢海老に似た大きなエビ汁
ウニに似た物は拳4つ分程と何とも大きく棘のある殻を豪快に割ってそのままの物が各々に2つずつ用意される事と成った
私達の座るテーブルには辺りとは明らかに異なるフードファイターばりの豪勢な料理の数々が並び
観光客は勿論、店員さん達の注目迄浴びている
「いただきます。」
「いただきます!」
可愛い彼が無表情ながら無邪気に魚を選ぶ姿を静かに見守っている内に止めるタイミングを見失い
更にはお財布を握っているのは彼だし止めるのもどうかと迷った結果が今の状況を招いた訳だが………
…………さて…………食べきれるだろうか……………なんて考えている内にも周囲からの視線が刺さる
そんな状況に気だるげに髪をかき上げた後黙々と箸を進める彼
きっと辺りのテーブルと比べて自分達の昼食の常識外れに気付いたのだろうが
やはり彼は彼だった
特段気に止める様子も無く威風堂々と上品に箸を運ぶ
彼は例え大勢の視線に晒され様が周囲等無い物の様に振る舞う
(…………私……イルミさんのそんな所も好きやなぁ………)
なんてまさかの場面で大好きな彼の好きな部分を発見した私は暫く染々とした後に遅れを取り戻す様にモリモリどんぶりを平らげた
「また太るよ。」
「…………………」