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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第84章 雪の日の温もり






寒さを配慮した優しいプレゼント

彼が私を考え選んでくれたプレゼントなのだと思えば寒さも忘れて跳ねてしまう

そんな私に溜息を付きながらも特段嫌そうでは無く寧ろ穏やかな表情を浮かべた彼はおもむろにモノクロチェック柄のマフラーを首に巻いた


瞬間色々な感情が込み上げて動きが停止する


彼が首に巻いたのは間違い無く私が彼の誕生日プレゼントにと贈った物だった

まだ私達がアパートで過ごしていたあの頃に贈った彼からしてみれば高価でも何でも無いマフラー




彼は極力の物を持たない


ハンカチや下着等、現地調達し現地処分する


彼が持ち運ぶのは数日分程度の衣服類と仕事の物だけ



だけど彼は今回わざわざ私の贈ったマフラーを持って来ていた

あの小さな鞄ではさぞ荷物に成るだろう

その気持ちが嬉しかった

あのアパートで過ごした日々を彼も私と同じ様に大切にしてくれているのだと思えば胸が綻んで暖かく

涙がじんわり視界をぼやかした


「まだ持っててくれたんですね」


「沙夜子からのプレゼントだからね」


私が泣きそうなのを知っていて彼は他に何も言わなかった

きっと私が話さずともこの胸の中の気持ちを彼は汲み取ってくれていて


「行くよ、お腹空いちゃった。」


なんて背中を向けた彼は白い呼吸を残しながら優しく私の手を引いた






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