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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第84章 雪の日の温もり






…………まずい。咄嗟にそう思う。



私は今面倒くさい女かもしれない

いくら事実でもこんなネガティブな事を言われては"そんな事無いよ""可愛いよ"なんて誉めなければ気まずい状況を作ってしまった………


彼は優しいし気遣い出来るジェントルマンだ

しかし、口下手というよりか……クールだしロマンチックな愛の囁きの類いは苦手な人だ

滅多に言ってくれないけれど、其れでも無理して私に気持ちを伝えてくれているし私は其れで十分天国に昇れる程満たされている


それなのに今の状況は私自ら彼の苦手な甘い台詞を促す様な事を強要してしまった様な雰囲気だ


……………そんな事思っても見なかったのにっ………


寧ろ今でサンクチュアリだし私は健気に彼のタイミングを待つ心づもりだったのにっ…………


……きっと"変な顔は元々でしょ""馬鹿じゃないの"等の素っ気ない対応が返ってくる………


彼はそういう人だし今更本気で傷付きはしないが多少へこむ

私が自ら仕出かした事態にげんなりしながらも唾を飲み込んだその時ルームミラー越しに視線が交わり緊張が走った


(……………大丈夫……イルミ様、私、腹は括ってるからどんな言葉でもヘッチャラ…………)


そもそも誉めてもらいたくて発した言葉では無かった

彼はクールだけど私に"不細工"なんて酷い言い草をした事は一度だってないし誉めて貰えなくても全然平気だ


なんて思いながらも視線を外そうとしたその時


「俺はそうは思わないけど。」


彼は何時もの飄々とした態度のまま単調に言った

瞬間ぶわりと熱く成る体温に視線を逸らしてしまう


「あはは………ありがとうございます」


なんて変に裏返った声で笑った私に彼は何も言わなかった



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