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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第84章 雪の日の温もり






「この山を越えたら目的地だよ。」


「そうですか!」


広大な山並みが一様に白く輝き吐き出す呼吸の色が同化する

異世界にいる筈なのに何故か切なく胸が締め付けられるのは冷たい風が冬のあの日を連想させるからかもしれない

静かな辺りに聞こえるのは風の音と小さな車のエンジン音



「行こうか。」


「はい!」



私の横顔に視線を落としていた彼が何を思っていたのか解らないが私が彼を見上げた時には既に背中を向けていた



____________"




古都からゆっくりとドライブを楽しんだ約2時間の間私達は他愛ない話に花を咲かせた

紅葉美しい寺院で撮ったツーショットは彼の余裕な雰囲気の隣で馬鹿みたいに真っ赤でぎこちなく笑う私の姿が写っていて

着物でドキドキ大作戦と言うより私がドキドキしただけだった事を振り返る


彼は着物姿の私を前にやはり平然としていたしドキドキしていた様には思えない



しかし、……………普段滅多にキスもしない彼が深く口付けてくれたのは其れなりに魅力的に感じてくれたのだろうか………………?


なんてもう一度スマホ画面に視線を落とす


(……でも……いくら何でもこの顔は無いよなぁ………)


茹でダコの様に赤い顔、思い切り彼を意識して妙に緊張した笑顔が間抜けで思わず本音をポツリと漏らす


「………やっぱりイルミさん程の見目麗しい人と並ぶと見劣り抜群ですねぇ………私変な顔……」



音楽も掛けていない車内には良く響いた



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