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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第83章 夕焼ける道



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大きな手が私の手を引いて冷えた指先がほんのり体温に暖まる


私達は宿坊に戻る道すがらお土産屋さんが連なる通りを歩いていた

大勢の観光客で賑わいを見せる通りが夕焼けて雑踏に混ざって楽し気に下駄が鳴る


「良い匂いですね!」


「何の匂いだろう。」


立ち止まり指差す私に釣られて彼も足を止めた


「たい焼きですね!」


「タイヤキ?」


私が指差した方向を見た彼だが腑に落ちない顔をしている

………そうか………たい焼きを知らないのか……なんて染々としてしまう私に


「タイって鯛?魚だよね。」


彼は真面目な顔で真っ直ぐ私を見下ろした

確かに鯛は魚だ

しかしたい焼きに鯛が入っているのでは無く鯛の形を模しているからたい焼きというだけである


「鯛はこんな匂いじゃないよ。」


なんて怪訝な表情を浮かべた彼にニヤっとしてしまう

彼はそもそもたい焼きを知らないし名前と香りのギャップに理解が追い付かないのだろう


「食べましょう!!!」


なんて手を引く私に彼は渋々と着いてきてくれた

本当に嫌なら彼が本気で立ち止まるだけで私は歩き出す事も出来ないだろうに……彼は本当に優しい




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