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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第83章 夕焼ける道




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私の世界とよく似た木々が紅葉に染まり境内で赤々と燃えている

深い赤色、淡い茜色、同じ様に紅葉していても各々の木々で違う色に染まり葉一枚一枚も各々のコントラストを見せている

まるで紅葉のトンネルの様な光景に歓声を上げた私は落ち葉の絨毯を踏み締めて立ち止まった


「………綺麗」


「そうだね。」



素直に漏れた言葉に彼は静かな声を返した


冷たい風に揺れて落ちる葉に釣られ振り返り視線も思考も全てを彼に奪われる


鮮やかに色を見せる紅葉の世界に彼は静かに立っていた

遠く高い木々を見上げる事で黒い髪が流れて顔立ちよりも随分と男性的な首筋が露見する

高く通った鼻筋、薄い唇はつい数時間前に私の唇に重なった物で


自身の口元に指先で触れて甦る感覚にドキドキと胸が高鳴った


印象的で猫目がちな瞳に美しい赤が反射していて只彼が木々を眺めている姿に時間さえも忘れてしまう


日本を思わせる石造りの立派な鳥居が木々のトンネルの先に見えていて彼が着物姿である事も相俟って現実世界に存在していない様な気さえする

彼の涼し気で物静かな雰囲気と詫び錆びある寺院の雰囲気があまりにも似合い過ぎている事もそう思わせた原因だ



「………………イルミさん綺麗……」


「……男に綺麗は褒め言葉に成らないからね?」


なんて僅かに眉をしかめる彼に私はシャッターを切り、納めた一枚はまるで別世界を閉じ込めた様に甘美な仕上がりだった


ドキドキと早い鼓動と紅葉に染まる頬を誤魔化す様にスマホを掲げ



「ふぉおおおおお!!!めっちゃ美しいイルミさんゲットです!!」


なんて言えば


「沙夜子も撮ってあげる。」


彼は呆れ顔ながらスマホを取り上げ私にスマホを向けた



「折角やし二人で撮りましょう!」


「良いよ。」



私達はその後寺院内をゆっくりと見て回り沢山の写真を撮った

彼はやはり歴史的建造物が好きらしく繁々と眺める姿は本当に絵に成って

私は何度も頬を染めた




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