ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第83章 夕焼ける道
あの雰囲気は…………そのまま……なんて事を容易に想像させるものだった
すんなり離れた彼にその気は最初から無かったのだろうけどそんな風に考えてしまった私は随分と淫乱な様に思えて………非常に恥ずかしい……………
なんて羞恥に固まってしまい、そうしている内にも外出する為に財布を持つ彼の仕草に私も慌ててスマホを拾い上げていると
いつの間にか傍に戻っていた彼は私の耳元で意地悪な呟きを落とした
「……期待した?」
触れそうな距離で吐息交じりに吐かれた言葉に肩が跳ねる
私は随分解りやすく耳迄紅を差しているだろう
期待したに違い無いが其れを悟られてしまうのは羞恥のキャパを越える………
否定しようと必死にブンブンと首を振る私に彼はクスリと小さな笑みを落とした後
「ふーん。」
全てを見透かしている様な余裕の表情を浮かべたのだった
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15:42
カランコロンと鳴る音は私の草履と彼の下駄の音
彼は昨日の約束通りお昼御飯にお寿司屋さんへと連れて行ってくれた
パドキアでは生魚を食べる習慣が無く久々の寿司を前に私は彼が驚く程の食いっぷりを見せた
流石ジャポン………日本と大差無いクオリティー……
更に生息している魚の種類も酷似しているのか全てが食べ馴染みある味で素晴らしい食事だった
正直絶品過ぎて舌が溶けてしまうとすら思った
やはり流石彼はセレブである
私が彼を連れて行っていた回転寿司とは全く違い小さいながら質の良い老舗高級寿司屋を貸し切り予約してくれていたのだ
……………美味しい物は大好きだし、約束を叶えてくれる事は嬉しいがこんなに甘やかされていて良いのだろうか……………?
………いや、…………決して慣れてはいけない……………なんて一人頷きながらも私達は行き先を模索して適当に歩いていた