ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第82章 負傷から
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着物と揃いの椿をモチーフにしたかんざしをレンタルし完璧に着物に身を包んだ自身の姿が鏡に映る
赤く染まった唇
心なし普段と違う色をした瞼
私は少し緊張した固い表情をしていた
「デートですよね、お楽しみください」
なんてにこやかなお姉さんにお礼を言いながら部屋を出る
……………と、ここまでは良いのだ
問題は私にある
完璧な着付け、セット、メイク、本当に有難いし自分で言うのは何だが想像よりも可愛く仕上がった
しかし何故パンツを履いていないのだろう……………
いや、理由は解っている
私がたまたま黒の下着だった事、選んだ着物が冬用では無く比較的薄い生地の白色だった事
更には下着をカバーする様な物はレンタルに無かった事(買い取りだが私に現金の持ち合わせは無い)
従って私は今ビニール袋にパンツを持っている
鏡に映った表情の原因はこの為だ
……………まぁ自ら話さなければ彼には解らない事だし……………
なんて言い聞かせながら廊下へ出れば彼は既に待っていた
紺色の着物、黒に白い刺繍が入った帯、その上から着物と揃いの羽織を羽織った彼は息を飲む程に艶やかだった
奥ゆかしくシンプルなデザインながら高級感漂う風貌は彼が着ているからなのか