• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第82章 負傷から







「あ!イルミさんも着てくださいね!私見たいんで!!」


「………コスプレ癖?」


「違います!私は純真たる気持ちで着たいしイルミさんの姿を見たいんです!!」


「………別に良いよ。」



ふぅっと息を吐きながらもそっと本を閉じた彼は「今晩仕事で出るから」と続けた


「ありがとうございます!!!」


笑みを浮かべながら嬉々として立ち上がる


仕事で今晩私を一人にしてしまう……その代わり付き合ってあげる、といったスタンスだが

やはり彼は優しいと思う


私と一緒の時は私を優先して考えてくれていると思えばドキドキ着物作戦を決行出来る事も相まって気持ちが浮き足立った






そこからの行動は実に迅速だった

即座に体験希望の用紙を記入して提出

彼と二人体験場所に出向き、男女別々の部屋へと移動した


宿坊での着物着付け体験という事で古風で渋い色味ばかりかと想像していたが
お好きな物をと通された衣装部屋には思いの外可愛らしく艶やかなデザインの着物がずらりと並んでいて胸がワクワクと弾んだ


着物選びも重要だと吟味する事数分


本格的な和柄の着物も素敵だが私が惹かれたのは大正浪漫を思わせるレトロで可愛らしい物だった

白地に大きく赤い椿の柄は可愛らしいながら落ち着いた雰囲気で合わせる帯が深い群青とからし色だからなのか大人でも幼すぎないデザインに成っている


「これにします!!」


触れればしっかりとした生地は其処らの安物とは質が違い手触りから上質だ

麗しの彼の隣に立つに相応しい………


なんて偉そうにも知った風な顔をした私に着付けのお姉さんは丁寧な対応で美しく着物を着付け、髪のセット迄サービスしてくれた

なんでも若い女性客は少ないらしく体験を利用してくれる事自体が有難いと頭を下げられるので私も負けじと頭を下げた


(……………日本人って感じ……久しぶり……)





/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp