• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第82章 負傷から





翌朝



異世界にてだらしがなく不規則な生活を送り初めて約四ヶ月

私はそんな時間的縛りが一切無い生活に甘んじていた

彼は彼で私がどれだけ眠ろうがゴロゴロしていようが何も言わず不快な態度も見せなくて

彼の性格から考えるに改善すべきだと思ったなら必ず何かしら注意をしたり、それこそ呆れているなら露骨に呆れ顔を見せる筈だ



そんな規則正しいとは程遠い生活にすっかり慣れた私だが空気も冷え込む早朝5時30分…………何故か本堂にて静かに正座していた


まだまだ夜を思わせる空

一晩冷やされた空気は身体を刺す様に染みる



………………何故こんな事に成っているのかというと



宿坊………私達の宿泊している施設は元来修行をする僧が宿泊していた施設であり
朝のお勤めと呼ばれるお経読み体験が自動的に付いてくるシステムだったのだ

大きな仏像が鎮座する広間にてあまりもの寒さに身体が体温を上げようと小刻みに震える

慣れない文字の羅列を懸命に読もうにもスピードに付いて行けず口ごもるばかりでチラリと隣の彼を盗み見れば

彼はパッチリお目目のまま
まんじりともせず手元に開いたお経に視線を落としていた

姿勢良く伸びた背筋

端から見れば静かにお勤めに参加しているがお経に不慣れなのだろうな……くらいに思われるだろう






……………しかし私には解る……………




(………イルミさん寝てるやん…………)


先程から身動きせず瞬きひとつもしない彼は進むページすら追わない……………完璧な迄に熟睡していた


この寒さ、しかも正座をしながら眠れるなんてやはり彼は人間離れしているが


心底羨ましいと思ってしまう私はお勤めをしても何ら変わらない俗世に染まった煩悩だらけの人間なのだろう………


/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp