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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第81章 月を見上げて







実際、彼も純粋に観光を楽しんでいる様に見えるのは気のせいでは無いだろう



「はい!行きましょう!」


なんて声を弾ませながら並び歩く街並みは日本よりも古風な建物が並び立ちそれでいて大勢の観光客で賑わいを見せていた


彼が指差した茜色が美しい神社を参拝し二人お揃いでおみくじを引いた


「中吉!」


「俺も」



「え!!前もお揃いでしたよね!」


「前は大吉だったけどね。」


まさか再び同じ結果が出るとは思いもせずに軽く跳ねてしまった私に彼は柔らかい表情を浮かべた


胸がキュンと切なく幸福に包まれる


日本に類似したジャポンで私達はあの日々を懐かしみながらも

しかし確実に前進していた



その後鏡池という鯉が泳ぐ池を見学し夕飯迄に帰路に付く


宿に到着した時刻が15時を過ぎていた事から観光時間は短く体感で言うなら本当に一瞬の事だった


暗く成るのが早い


既に夕焼けを過ぎてうっすらと暗く成る街


沢山のお土産屋さんや茶屋に淡く照明が浮かぶ


楽しい分また彼が仕事に行ってしまうのが悲しくてチラリと様子を伺えば

彼の端正な横顔は穏やかに前を見据えていた

彼を包む凛と静かな雰囲気が古都に溶け込みサラサラと冷たい風に髪が流れる様を悠長に感じる

彼が実在し、隣を歩いている事が本当に不思議で肩で風を切り歩く彼の歩幅が私に合わせられている事にじんわり胸が熱くなる


「前見て歩かないと転ぶよ。」


なんて此方に視線を向けた彼は然り気無く私の手を掬い指を絡め


その時初めて指先が冷えている事に気付いた

温かい彼の手は大きく私の手を容易く包み込む



「沙夜子は本当に冷え症だよね。」


「………イルミさんがあったかいんです…………」


真っ赤に違いない顔を俯けてポツリと呟いた私に彼はクスリと小さく笑った




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