第81章 月を見上げて

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「寒いですね…………」


「ジャポンの風土は日本と酷似してる。日本の冬もこんなだったし。」



私達は折角なので境内を散策していた

本堂を見せて貰う際、宿泊客の特典として様々な解説をお坊さんから聞く事が出来た

中でも本堂の天井に描かれた巨大な龍の天井画は圧巻で実在する龍神を描いたという物語に感心するばかりだった

火災の多い近辺から人々を守った龍神を描いた其れは制作に実に30年もの年月が掛けられたそうだ

細部に迄丁寧に走る墨は其の巨大さからも迫力があり描かれた時から1500年も時を経た今も尚彩色が鮮やかに残っていた


その他三重塔等の解説を聞いた私達は手渡された一枚の紙を手に境内を出た


なんでもこの辺りは寺や神社等の歴史的建造物が多く集まる街らしく近辺地図には沢山の星印が付いていた


「この辺りは日本で言う京都みたいな所なんだよ」


「成る程………イルミさんって歴史的な建物好きですよね」


「うん」


「来たことあるんですか……？」


「無い。そもそもジャポンでの仕事自体少ないし。」


「…………そっか」



という事は彼自身も私と同じく初めての場所を観光している事に成る

クリクリと大きな瞳で地図を見ながら「此所に行ってみない？」なんて首を傾げるあどけない彼の姿にキュンと胸が高鳴った


予想もしていなかったが何だか彼と旅行に来た様な気分に成ったのだ