ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第80章 型破りを見守る男
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彼女にクリスタルローズを与えて五日目
「イルミさん!!!咲きました!!!」
夕飯を終えてリビングで寛ぐ自身の元に飛び込んで来た彼女を受け止める
「めっちゃ綺麗に咲きましたよ!!!イルミさんも見てください!!!」
なんて馬鹿な程に笑みを浮かべる彼女に腕を引かれ歩く
………ここ数日、仕事が終われば喜ぶ事に変わり無い彼女だが二人過ごす時間すらも花に割く姿に正直おもしろく無かった
なんて決して彼女の耳に入る事は無い思考が頭を過る中
照明が落とされたガーデニングルームに足を踏み入れて驚いた
「満開ですよ!!!」
部屋中に淡い光を灯す花はこれでもかと咲き誇っていたのだ
自身が用意した1000本を悠に越えた数に昨日の強風を思い出す
あの強風に煽られて僅かに開いた蕾から花粉が散布されたのか何なのかは最早解らないが
プロでも全てを咲かせるのに苦労する花を彼女は独自の方法で見事に咲かせて見せた
自身の手配した資料は植物園のクリスタルローズ専門知識を持つ人物の物だった
情報や資料には記載の無かった奇想天外な発想が花をこれだけ咲かせる結果と成った事に関しては自身に無い思想の成せる技だろうと素直に感心してしまう
彼女にしか成し得なかった光景の中
「どうですか!!綺麗でしょ!!!」
得意顔で声を弾ませる彼女はフフンと鼻を鳴らすと自身を見上げリアクションを待っているので一応感想を伝える
「凄いね。」
「私が育てたんですよ!!!」
「………知ってる。」
「私今めっちゃ嬉しい!!イルミさんありがとうございます!」
「?」
「お花くれてありがとうございます!!!」
「………あぁ、うん。」
得意気に胸を張る彼女は無邪気にはしゃいで瞳を細めていて
こんなに喜ぶならまた花を育てる機会を与えてやろう……なんて先程迄の自身の思考は容易に覆ってしまった
「……あ!親方にも見せないと!親方は協力者ですから!」
今にも宙に浮きそうな程浮かれた彼女が部屋を出て行く背中を見送りながらポツリと漏らした台詞は
「………本当に凄いんだけど……何が効果的だったんだろう。」
調子に乗るので本人には言わない