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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第80章 型破りを見守る男






「何考えてる訳?」




自然と漏れた声は普段より低く成ったが彼女には其れくらいが丁度良い



ビクリと肩を震わせ此方を恐々見上げる彼女を見据える




「飛行船で窓を開くのは自殺行為だ。沙夜子は馬鹿だから知らないだろうけど高度10,000m付近で船外の気圧は地上の四分の一程度……従って、室内には気圧を高めるシステムが働いてる。」



「……………はい」



「つまり高度に合わせて程好い気圧に調整されてるから普通でいられるんだよ。其れに高度が高いと船外の気温は-3、40℃に冷えてる。」



「………はい」



「………幸い低空飛行してるからそこまでの高度じゃなかったけど、酸素が足りなければ沙夜子なんて簡単に酸素欠乏症に成るんだよ?」


「気圧が違い過ぎれば気流に飲まれて人も物も一瞬で外に放り出されるし、下手すれば飛行船もバラバラに大破する。」



「……………」


「どれだけ危険な事をしたか解るよね。」


「………はい……すみませんでした……」





本当に幸いだった

雷雲を避ける為昨夜の内に高度を下げた自身の判断が無ければ確実に彼女は気流に飲まれていただろう


苛立った態度のまま言い聞かせれば彼女はしゅんと小さく成った


………彼女は無事だった訳で


理解してくれたのならば其れで良いのだが肝が冷えたのは確かだ

そして確実に自身は苛立っていたのだが……



強風に花が煽られ酷く散乱した部屋を見渡し涙を滲ませる姿に溜息が漏れた


彼女の行動は何にせよ突拍子が無いが何かしらの考えの元であるのは間違い無い


そして其れが熱心に世話を焼く花の為だったのだろう事は考えずとも理解出来た



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