ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第80章 型破りを見守る男
クリスタルローズの栽培方法が記載された資料を予め手配し、彼女に手渡した当初彼女は自身の参加を望んだ
「……イルミさんも一緒に育てるんですよね……?」
「俺は雑務があって時間が無いから沙夜子が世話すれば良いよ」
「………雑務………」
「資産運用とか色々。」
「…………そうですか……わかりました………」
あからさまに沈んだ肩に視線を逸らす
…………自身には成すべき事が残されている
まだ不明確ながら彼女と異世界へ旅立つには丸一年仕事に穴を空けても問題無いだけの仕事を捌く事が求められる
従って今するべき事は山の様に存在しその分の雑務が増えるのだ
チラリチラリと視線を寄越す彼女だが瞑られた唇から文句や要望は聞こえて来なかった
彼女は天真爛漫ながら自身の職業を理解した上で思慮深い面を持っている
彼女の中で考慮した上、不満があれば自身が糸口を探った際に何か不満を漏らすだろう
………なんて業務に気を逸らしていたのは一時の事だった
時刻を確認し、そろそろ昼食時だと知る
キッチンからは何やら作業をこなす彼女の気配がしていて何気無しにキッチンを覗きに立ち視界に映った光景を静視した
「………………何してるの」
「……あ!今肥料を作ろうと思って材料集めてるんです!」
「………肥料?」
「はい!!!」