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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第80章 型破りを見守る男





翌日


スヤスヤ眠る彼女の癖のある髪を指先で遊ばせ、その間抜けさに気が抜ける自身に気付く

朝日に照らされ警戒心の欠片も無く身を寄せる彼女の姿を暫く眺めた後にコーヒーを入れるのがいつの日か日課になっていた


記憶を辿れば異世界で共に過ごした時からそうだった様に彼女は朝に弱く自身より早く目を覚ます事は少ない

色違いのマグカップに湯気が立ち其れを片手に彼女の隣に戻ったのは最早癖の様に成っていて

緩く弾んだスプリングに彼女の瞼が悠長に開く姿を見る





「………@#¥$@%#~………」




まだ半分夢を見ている彼女がだらしなく微笑みながら発した言葉は何語にも属さない言語だ


「……何言ってるかわかんない。」


寝言に返答している自身に溜息が漏れる


「………もう少し眠ってなよ。」


壊れぬ様に緩く頬を撫でれば再び落ちる瞼を見届ける


暗殺という職業を生業とする自身には穏やか過ぎる朝を過ごした筈だった



___________"




飛行船での旅は1週間程期間があり自身には事務処理が残っているが彼女は手持ちぶさただろうとクリスタルローズの苗を用意した

彼女は花が好きだし暇潰しに成るだろうと考えたのだ


自身が事務処理をするという事はその間彼女に構う事が出来ない



此方の世界に来てからの彼女は何かと自身と行動を共有したがる

自身が留守がちな事も相俟ってなのだろう

其れが不快だと感じた事は一度も無いが彼女の期待に満ちた眼差しに屈して仕事が疎かに成る事だけは避けなければならない


その意図から用意した苗の数は1000本


飛行船の一室を完全に花の為に改造した


クリスタルローズは50年に一度しか咲かない為に苗から花を付ける迄の期間も1週間程と比較的短く移動時間とも折り合いが良かった

そして何より手入れや世話に少し手を加えなければ人工では育ち難い点から彼女が飽きないだろうと考えた




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