• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第79章 彼と私の時間







背中がずしりと重たく成って私が倒れ込むのに避けられた腕が背中に乗せられたのだと感じる

そして空いた方の手は私の髪を掬い耳に掛けると優しく頬を撫でた


「下らない事考えてる顔だね。」


大好きな彼に触れる事を許され彼自らの意思で私に触れてくれる事が幸せで仕方がない一方不安は膨らむ


「…………私イルミさんに嫌われるの嫌です…………」


彼の脚の上で視線をぼんやりリビングに向けたまま呟けば


「沙夜子の話しはいつも脈絡が無い。」


彼は何故か優しい声色で言った


其れが何故なのか解らなくて彼へ顔を向ければ穏やかな表情を浮かべる彼に胸がキュンと騒いで

瞬間勝手に染まる頬に私は姿勢を正し隣に座り直す事と成った





「………沙夜子は馬鹿な事を無駄に考えるタイプでしょ。どうして俺が沙夜子を嫌いに成る事を考えてるのかは知らないけど無駄な事考え過ぎ。本当……そういう妄想癖最初から変わらないよね。」



別に特別優しい言葉だった訳じゃない

だけど勝手に照れて顔を隠す様に俯いた私の隣で穏やかに続いた言葉は全て私の事等お見通しだと言われているみたいで

"そんな沙夜子も好きだよ"なんて空耳でも聞こえてきそうな響きに私は熱く染まる緩んだ頬を隠すのに必死だった




「あはは………確かに妄想癖は昔からです………イルミさん………私と一緒で疲れません……?」


「疲れないし嫌いになる要素じゃ無い。」


「そうですか………良かった……」


「…………。」



彼は核心的な甘い言葉を滅多にくれないけれど
こうして心を満たす言葉をくれる


私は………私は彼の心を満たせているだろうか………




「私はイルミさんが一緒にいてくれて……私を恋人に選んでくれて………死んでも良いくらい幸せです!」


「あっそ。」



私の思い切った言葉にも変わらず素っ気ない態度の彼だがその声色は冷たいなんて微塵も感じさせない柔らかいものだった




/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp