ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第79章 彼と私の時間
11月07日
私達は古城のホテルを後にした後町外れで一泊し
空が橙色に染まる頃飛行船でサヘルタ合衆国を旅立った
私達が向かう次の目的地はジャポンである
その事実を知った私は異世界の日本にあたる場所に行ける事にテンションが高ぶった
実の所洋食続きで日本食が恋しかった事も私を荒ぶらせる原因である
先程から感激の舞成る謎のダンスを踊る私を彼は完全に無視して淡々と飛行船の操縦に勤しんでいるが
気にしない
…………お味噌汁が私を待っている………!!!!!
「あー愛しのお味噌汁~♪肉じゃが~白米~焼き魚~納豆~お鍋にお豆腐お蕎麦も集まって~♪「煩いよ。」
私のオリジナルソング『日本食はお友達』は彼の冷たい一言により強制終了と成った
「だって日本食久々なんですよ!ずっとずっと食べたかったんです!お寿司とか!!」
呆れた表情を隠しもせずに私を見据えた彼は溜息を残してさっさとリビングへと消えようとする
私を置いてきぼりにするなんて So cool…………
使い方は違うがとにかく冷たい
「………イルミさん………私は日本食を食べたい」
彼の背中を追ってリビングに向かい彼の座ったソファーの隣で呟いてみる
チラリと様子を伺えば細められた瞳は瞼を閉じてふぅっと息が吐き出された後に
「…………解った解った。寿司も味噌汁も食べる機会はあるよ、楽しみだね、良かっね。」
あからさまに棒読みの台詞が紡がれた
途端に先程迄の有頂天は消え去り込み上げる不安
……………食べ物の事でいちいち舞上がる女にほとほと呆れてしまっただろうか…………
確かにいちいちリアクションが大きくて鬱陶しいかもしれない………
現に彼は良く「煩い」と注意するし
そういう積み重ねから嫌に成ってしまうのでは無いだろうか………?
先程迄の馬鹿騒ぎが嘘の様に静まり返った私に隣から視線が刺さる