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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第78章 動き出す時間







花が模された額に並び立つ彼そっくりの男性と金髪が美しい淡い水色のドレス姿の女性

二人が心底幸せそうに笑う絵は湖の畔で描かれた物だった



「置いて行くよ。」



なんて既に廊下から姿を消した彼に急かされながも胸がドキドキと高鳴る



「待ってくださいよ!!」





…………あの肖像画は間違い無く話に出てきた物だ

何故あそこにあれがあるのかは解らない


だけどあれがこの場所に戻ったという事は……………二人は再会したという事………





私は自分の事の様に高揚していた


長い苦しみから二人は解放されたのだ


あの肖像画は其れを示していた



何やらフロントでやり取りを済ませる彼を尻目に振り返った広間は何処か清々しく威風堂々としている様に見える

王族の血は途絶え悲劇が襲った城の時間は動き出したのだ



無性に涙が溢れそうに成るのを必死に天井を仰いで耐える


きっと二人は幸せな時を取り戻したのだから涙はもう流れないのだ








用意されていた車に乗り込んだ後もドキドキと心臓は騒がしく



振り返った視線の先



湖畔を見て私はとうとう泣き出してしまった





「………何泣いてるの。」




淡い水色のドレスが嬉しそうに靡き長い黒髪が隣で揺れている

しっかりと繋がれた手と手から二人が共に時間を歩み出した事が伝わって来て胸が一杯に成った

心底幸せそうに微笑み合いながら湖を眺める二人の姿は肖像画と何ら変わり無く幸福に包まれた物で



「………私のやりたい事………もう大丈夫みたいです………」



涙声に呟いた私の背中に



「………あっそ。」



なんて素っ気なく放たれた彼の声は穏やかな笑みを含んでいる様な気がした






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