ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第78章 動き出す時間
すっかり荷物を纏めて背負った私とコンパクトなバッグを持った彼は部屋を後にする事と成った
部屋を眺めながら長い時の流れを思う
もしかしたら二人が幸せに過ごした部屋はここだったんじゃ無いだろうか
バルコニーの傍に生えた背の高い木が風に揺れていて美しいお姫様があの木に腰掛けていたのかも知れない……なんて思う
彼女がイルミさんに見せた表情からまだ二人が惹かれ合っている事は明白で
1日でも早く肖像画を見せてあげたいと思った
一足先に部屋を出た彼は真っ直ぐ廊下を歩いて行く
彼の背中に王子様を重ねて喜んだお姫様の気持ちを思うと胸が痛む
「早く行くよ。」
「はい!!」
単調な声に彼の背中を追って廊下を駆け抜けた時
私の視界に小さな肖像画が映った
「………え、あれ…………?」