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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第78章 動き出す時間






夕焼け空が薄く茜色に染まった頃漸くホテルへ足を踏み入れる事が出来た


やはり目的の物はあの地下室で埃を被り眠っていた




階段を登れば背後に着いてくる女の気配を感じる



「……人違いもいい加減にしなよ。」



ジャケットの内側から取り出した肖像画は両手の平程の本当に些細な大きさの物だった

当時は上等だったのだろう額も煤けて色が剥げているがその中の絵画は未だ鮮明に二人の姿を残していた


自身にとっては何の感情も湧かないゴミも同然だが


大層ご立派な肖像画の数々を横目に小さく古ぼけた肖像画を壁に掛けた







廊下の向こうから自身と良く似た顔立ちの男が歩いて来る姿

目を見開き涙を滲ませた男は自身とすれ違う瞬間に


「ありがとう」


穏やかな声を漏らした



……別に偽善的な行為に酔っている訳じゃない


しかし男の声と女の声が重なるのを背中越しに聞きながら何故か笑みが漏れる自身がいた




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