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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第78章 動き出す時間






人の気配をくぐり抜けながら部屋を巡る

王冠に関しての資料には目を通したが肖像画のサイズが解らない

小さいと話していたし然程持ち帰るのに苦労はしないだろうがもう少し情報が欲しい所だ





「俺とそっくりの王子様……ね。」




……………しかし………俺が敢えて存在を無視し続けた物と彼女が会話しようとは思いもしなかった



能力が何だと騒ぐ彼女を思い出す


…………変に自信を付けると更に暴走しかねないというのに



(………沙夜子が暴走したら大変なのは俺なんだけど………。)




自身が傍にいないのだからあの女に危害を加えられる事は無いと判断したが

確証は無く気掛かりだ


ターゲット暗殺に掛かった数秒より山程ある物の中からひとつを探し当てるのは遥かに時間がかかる

部屋を巡り始めて三時間が経とうとしている





事前調査で城内の地図は把握していたのが幸いだ
でなければ倍以上の時間が掛かっていただろう


残す所地下の部屋もしくは兵士の待機場所くらいだが後者は可能性が低い上にリスクが高い



石階段を下ると灯りひとつ無い薄暗い廊下の先に扉が見えた



厳重に掛けられた鍵は錆び付き長年人が寄り付いていない事が確認出来る

錆びた鍵を破壊するのは容易く重厚な扉を開けば

膨大に溢れる物は乱雑に保管されていて見るからに年季の入った物ばかりだった

埃っぽく端々に蜘蛛の巣が貼る室内に、保管されているというより闇に打ち捨てられ人目に触れず腐るのを待っている様に感じた


王冠にしろ肖像画にしろ、この王族にとっては忌々しいだけの物

破棄されずに存在しているならこの部屋だろうと確信する


「………本当に面倒………。」



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