第78章 動き出す時間

ターゲットを始末して城内を物色する


今回の依頼人は宿泊するホテルの支配人からの仕事だった


【ルナソル=ハマンダ王を殺害の後、奪われたラミダス城の王冠の回収】


ハマンダ城は大国だけあり其れなりに敷地も広く殺害よりも王冠回収の方が厄介だった

更にターゲットはハマンダ国現王子

バレれば即兵が動き出すだろう


手っ取り早く立ち去るのが妥当だが………



運命論なんて信じてはいないが今回の仕事に関しては複数の偶然が重なっている


依頼人であるホテルの支配人はかつて大国に連行されたラミダス王族に仕えた使用人の末裔

俺が殺したのはラミダス王族が滅ぶきっかけを作ったハマンダの王族の末裔

そして王冠の回収という名目から様々な部屋を物色している訳だが


「…………肖像画………ね。」


ついでに立ち聞いた物を探している現状に溜息が漏れる


あの男が彼女に話した内容から察するに馬鹿な彼女は肖像画の回収に勇み立つ事は目に見えている


王の死が発見されれば城内へ安易に踏み入る事は不可能に成るだろうが彼女は探すと聞かない筈だ


そんな状況の中肖像画を探すとなると日を空けて期を待ち再度この国を訪れる事に成る

その間彼女を宥めるのは骨が折れるし現場に姿を再三見せるのは暗殺者として好ましい状況では無い




(……………従って今俺が持ち帰るのが一番の得策という訳だけど……あの話しを聞いて沙夜子が大人しく待っている保証も無い……面倒な事に巻き込まれたもんだな。)