ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第77章 悲しみの物語
女性の言葉は真剣なものだった
この女性に希望を託せただけでも僕達は大きな前進をした
涙を拭いながら大きく手を振る女性に笑顔を返しながら扉を抜けた先
随分前に出て行った筈の男性の背中が廊下の向こうに見えた
「………本当に僕とそっくりだ」
彼女が僕と間違えるのも無理は無い
…………あの女性と彼に託してみよう………
彼女の元へ戻ると彼女はやはりあの肖像画を探していた
もう数え切れない程探した場所でも彼女は繰り返し探す
悲しみに沈む瞳から涙を流しながら城中を何十回何千回も
「………シュライア様……………シュライア様…………もう一度貴方が見たい………貴方に会いたい…………」
「………ルミール………僕は君の傍にいるよ」
……………こんなにも近くにいるのに届きはしないんだ…………