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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第77章 悲しみの物語






彼女に僕の姿は見えない

いくら話し掛けても僕の声は届かず

いくら彼女に手を伸ばしてみても彼女には触れられず


彼女が僕に気付く事は無い




彼女はあの日の悲しみを背負ったまま同じ時を繰り返しているのだ

そして僕はそんな彼女に寄り添い溢れる涙を見詰め続ける事しか出来ない




「彼女は城中をさ迷って探し物をしていてね」


「…………探し物…………?」


「最初は指輪だと思ったんだ。だけど違った」


「…………もしかして肖像画ですか………?」


「……あぁ。あの肖像画を彼女はずっと探してる。其れに気付いて幽閉棟を探したり隣国の城内を探しているけど見付からないんだ……」


「………私も協力します……!!!!いや、協力させてください!せっかく傍にいてるのに……そんなんあんまりです!!!」


「……本当か……?」


「肖像画があったら二人は会えるんですよね」


「………わからないけれど、きっと彼女の時間は動き出すと僕は思ってる」


「ちょっとでも可能性があるんやったらやるべきです!私絶対協力します!!!!二人は幸せにならないとおかしい!」


「……ありがとう」


「………ただ、すみません、私勝手にこのホテルから動かれへんくて………あの!王子様そっくりイルミさんが帰って来たら直ぐに隣国に行きます!!!!」


「あぁ、本当に何と言えば良いか………話しを聞いてくれてありがとう……」


「こちらこそ話してくれてありがとうございます!私、二人を応援します!」


「君は面白い人だね、少し元気を貰えた気がするよ」


「……それは良かった……!」


思い切り涙声の女性につられて僕も頬が緩む


「僕は彼女の所に戻るよ、本当にありがとう」




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