第77章 悲しみの物語

彼女の姿を探して湖畔でその姿を見付けた時、僕は涙が止まらなかった


彼女のお気に入りの水色のドレスが揺れる


彼女は無残な姿では無く二人過ごした日々の姿で其所にいた


…………会いたかった…………愛しい人………








「…………ルミール！！………君には償い切れない悲惨な思いをさせてしまった………僕が不甲斐ないばかりに守れなかった………本当にすまない………」



湖畔に座り込んだ彼女の泣き声が聞こえる

ズキリズキリと痛む胸に身が焼けそうに痛い



「………僕は今でも君だけを愛している！君が許してくれるなら君の心が癒える迄また二人で過ごしたい……」




只悲しみに暮れる彼女の隣に腰を降ろした

彼女の泣き顔等初めて見る物で気が付けば僕は彼女に手を伸ばしていた




あの日の続きから僕達はやり直せやしないだろうか

只彼女を愛し彼女に愛される幸せな日々を







「ルミール！…………ルミール………？」




しかし其れは叶わなかった





僕の身体は無情にも彼女の身体をすり抜けたのだ




「…………何故……………僕達はまた再会出来たというのに……………」






僕も彼女の隣で同じ様に涙を流し続けた



ずっと想い続けた彼女が隣にいるのに何も出来ないというのは大きな絶望だった