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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第77章 悲しみの物語






本当はまだまだ沢山彼女との穏やかな思い出が胸にある

裏山へ散策に行った時に彼女が木の実を食べて体調を崩してしまった事

ベッドに入った後に他愛ない話しをせがむ姿

肖像画を眺めて微笑む横顔

釣りに夢中に成って門限を遅刻して執事に叱られていた事……

全てが愛しくてたまらない




そして、彼女を奪った女への恨み、深い悲しみ

不甲斐ない自身への嫌悪………語ればきりが無いだろう




だけど本題はそこじゃない………




目の前の女性は僕の話にポロポロと大粒の涙を流している


「…………でも!幽霊になって会えたんですよね!!」



この女性は心優しいのだろう

話して正解だった




「…………本題はここからなんだ」






僕は霊体に成るまでその存在を信じていなかったけれど実際に霊体に成って初めて全ての真実を知る事と成った


城を連行される夜、彼女は死んだのだと彼女の切り取られた腕を見せられた

華奢な指に光る婚約指輪

白い肌は間違い無く彼女のものだった










彼女は複数の兵に暴行され残忍な拷問を受けていた

何人もに無理矢理に身体を汚され呪いの様に「シュライア王子は死んだ」と聞かされた挙げ句

腕を切り取られた事による出血多量で命を落とした



そんな悲惨な事実を知った時の感情は言葉に言い表せない


彼女がどれだけ恐ろしい思いをした事か

彼女がどれだけ痛い思いをした事か……………




僕は只彼女に会いに行こうと決めた



彼女も霊体として存在しているならば………と、希望を掛けて城に戻ったのだ


あの日彼女を守れなかった無様な自分を後悔しない日等無かった

軽々しい謝罪の言葉等では足りない




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