• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第77章 悲しみの物語






対面した隣国の姫は大層歪んだ表情を浮かべて全ての成り行きを語った


「私こそが貴方様に相応しいでしょう?」



「………っ………」


「私との見合いをお断りになられるからですシュライア様」



僕はあまりにも身勝手な理由に言葉すら失った



女と会ったのは15の聖誕祭の時だ

女は僕に好意を抱いたらしく女の見合いを断り彼女と婚約した事が許せなかったと話した

だから殺したのだと

だから国を攻めたのだと


……………そんな身勝手な理由で彼女は理不尽に殺されたのだ………









僕は名ばかりの王と成った

大国に自国を飲み込まれ帰る場所も無く

抵抗を見せれば他の家族や民を殺害すると脅され続け強制的に女との婚儀は進んだ




警護と謳われた幽閉棟で過ごす莫大な時間は深い悲しみとなり身を蝕んだ


自ら命を絶ちたくとも最低限の物しか与えられない部屋ではそれすらも叶わなかった


思い浮かぶのは彼女の事ばかり


彼女との時間はもう何処にもありはしないのだ

幸せだと微笑む彼女はもういない






隠し持っていた肖像画を眺めてどれだけ彼女を想っただろう


「………ルミール……」


名を呼んだって返事等ありはしないのに僕は彼女の名を呼び続けた

彼女の笑顔がもう一度見たい

彼女の声を、温もりを………


僕が不甲斐ないばかりに彼女を失った



妻と成った女は毎日部屋を訪ねては僕に迫った





「シュライア様……」


「失せろ、名を呼ばれるだけで殺したくなる」


「…………貴方が全て悪いのよ!!!!あの女を選んだ貴方が!!!」




誰が全てを奪った女を愛せるだろうか



「僕はルミールを愛している、今も気持ちは変わり等しない」


「ふざけるな!!!!私は貴方の妻よ!!!貴方は私を愛するの!!!」


「愛していると言えば満足なのか?………死んでも言えない言葉だ。殺したく成ったら殺してくれて構わない、得意だろう」




そんな僕の態度に女は次第に部屋を訪れなくなり


彼女の元へ行きたいと願い続けた僕は彼女に遅れて三年後
胸に彼女の面影を抱いたまま病に身体を蝕まれ命を落とした



/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp