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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第15章 アパートを思った一年





なんて考えたって仕方がないし
指導する手前命を落とさせない為にも血反吐を吐かせる他やりようが無いのだけど


弟の能力が発動し紙吹雪が舞い小さな身体が身に着けた着物の赤と白い紙を見遣りながら赴くままに口を開いた




「………カルト、手合わせはまたにしよう。」


言えば戸惑いに揺れた瞳



「本でも読んであげるよ。」



「………っ!!」



「……どうする?」



「……お願い致します!」



こんなに純真な笑顔を見たのは初めてだった


手を伸ばせば強張った身体を抱き上げる

軽い身体は緊張に身を硬くしていて其の背中を撫でながら無駄に長い廊下を歩く


「どんな本が良い?」


「……………」


「………カルトが好きなのを教えて?」



「…………動物の……」


「………カルトは動物が好きなの?」


「………はい」


技の癖や身体の動きの癖、毒への耐性や洞察力……沢山の事を知っていてもそんな些細な事すら自身は知らなかった


書庫で本を選んでいても弟は俺の顔色を伺う

大切な事だ

弱者は強者の影に怯えなければならない


………だけど………


幼い弟はもうその事を重々理解している


「ほら、カルトの読みたい本を選べば良い」


小さな手がおずおずと伸びて選んだ本は"小さな森の仲間たち"なんていうヘンテコな物だった



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