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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第77章 悲しみの物語



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昔々


僕は王族の長男として生を受けた


今は宿泊施設と成っているこの建物は周辺の土地を治める城だった

城の周りには小さいながら町もあり、小国ながら争いを好まない穏やかな民が慎ましく暮らしていた

然程豊かでは無い国だったが皆幸せそうに見えた


優しい父と母の元、9つに成長した僕はある日突然彼女と出会った


父の治める国には二つの隣国が存在した

その内のひとつ

フランベルという国から父の旧友である王族の一家が城を訪ねて来たのだ

僕は当時まだ幼く日々勉学に励み将来国を治める為に多忙な毎日を過ごしていたのだが、その日は珍しく勉学の休息を与えられた


旧友一家には年頃の近い娘がいるのでもてなしてやりなさい、との言葉に胸が弾んだ事を覚えている


いくら小国とはいえ僕は王族の一人息子であり年頃の近い友人が居なかったのだ

普段僕と他愛ない会話を交わしたり遊戯に付き合ってくれるのは世話係や母と父

それに不満を感じた事は無いけれど純粋に嬉しく

そして少し緊張した





階段を降りた広間の先


淡いピンク色のドレスを揺らしお辞儀から顔を上げた彼女の姿を今でも鮮明に覚えている

愛らしい口元は口角が上がり本来大きいのだろうブルーの瞳は楽し気に細められていて


そのあまりもの美しさに見惚れた僕は初めて感じる胸の高鳴りに挨拶も忘れて固まってしまったくらいだ

彼女は一目で僕を魅了した




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