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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第76章 彼ともう一人の人物





私の呟きはやけに響いて彼はそんな私に真っ直ぐな視線を落した


正直何が何だか解らない


女性が見せた普通の人間には不可能な豹変した表情や理解不能な現象から咄嗟に漏れた言葉


彼には見えない女性の姿

何らかの力で動いた家具は私の周りでひび割れていて異様な光景を残していた


「兎に角、話をまとめよう。」


木片の散乱する場所に未だへたり込んだままの私を軽々抱き上げた彼はソファーに私を下ろすと隣に腰掛けた

普段と変わらず落ち着いた雰囲気を纏う彼の視線は突然動いた家具を見据えていて敢えていつもとの違いを挙げるなら眉間に寄ったシワがそのままだという事くらいだ


彼は再三私に何の事だと疑問を示した

ここは私が見た全ての事を話すのが現状把握の近道だろう


「えっと………私昨日の夜バルコニーから湖の所に座ってる女の人を見たんです」


私の声に視線を向けた彼は組んだ腕で頬を支えながら静かに続きを待っている


「で、その時イルミさんがその女の人と一緒に座ってて……女の人は無反応やのにイルミさんずっと話し掛けてました……」


「俺は沙夜子と別れた後直ぐに此所を出た。湖の方向とは真逆だし通りすがる事も不可能だ。」


彼の眉間のシワが更に深まる

白々しく嘘を付いたり誤魔化しているなんて雰囲気は一切無く只訳が解らないと言いた気な声色に彼の言葉に偽りは無いのだと思った



「…………その………私は其れを嘘やとは思わないんですけど、寧ろほんまやと思います……でも私が見たのは確かにイルミさんでした……目が合ったんです」


「俺も沙夜子を信じていない訳じゃない。………実際泣いていたし酷く取り乱した態度から大方何を思ったかは察しが付く。」


………………私が彼の浮気を疑った事は筒抜けらしく多少気まずいが今更隠す事等出来ない事実だ

静かに唇を開く彼を見詰める



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