第75章 豹変

少し心の余裕が出て来てこの分だと冷静に話し合いが出来そうな気がする


私は自分でも驚く程嫉妬深いらしい

彼が只親しげに異性と話している光景を目撃して裸足で彷徨くくらいには独占欲が強いのだ

………なんて幼稚だろうと思う反面彼がヒソカさん関連で激怒りする気持ちが少し理解出来た



次からはもっと彼の気持ちを考えよう……なんてこんな時まで彼を思い遣る気持ちを忘れない私は優しい


…………気持ちは随分落ち着いたものの深く傷付き動揺したのだ


自分で自分を誉めるくらい多目に見て欲しいなんて誰に言うでも無くぼんやり思いながらも




「……………誰なんやろう………」


同じ思考を繰り返した私は結局一睡もしないままに朝を迎え只静かに彼の帰宅を待っていた


随分前にセットやメイクを済ませてデート服にと選んだ厚手のワンピースに身を包む

普段メイクはしているもののだらしがない普段着だったりする私とは印象が違うだろう


昨夜の女性の様に美しい人を見た後に私を見たら残念に違いないと思うと少し苛立った


彼に綺麗だと、可愛いと思ってもらう為の努力を惜しんでいるとは思わないが少し気が抜けていたかもしれない

きちんとした身なりで彼を出迎え様と決めた

何と言っても私は彼の恋人なのだから………！！！！！




なんて妙に意気込む私だが内心不安で仕方がない

浮気では無いと言い聞かせてみても真相が把握出来ない以上やはり胸は痛むし独占的な嫉妬心が思考を支配する

それと同時に浮かぶのは私から話を切り出すべきかという事

仕事の関係上の付き合いだとして私が口出しするのは鬱陶しいだろうか………

いや、しかしあんな場面を目撃して何も言わないのもおかしな話だ

目が合ったのだから彼も私が目撃したと認知していてもしかしたら彼自ら説明があるかもしれない

まだ恋人としてお付き合いするのは３ヶ月と少しだが彼はいつでも誠実に接してくれているし昨夜の出来事を有耶無耶にするとは思えない