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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第75章 豹変






「あの、このホテルに私達以外の宿泊客はいらっしゃいますか?」


私の声がフロア内に響いて聞こえる


「はい、一組いらっしゃいますが………」


「!!どの様な方が!!」


「長く御贔屓にしてくださるご夫婦ですが………何かございましたでしょうか………」


「いえ、あの………何号室にいてるとか教えてもらえませんか………?」


「………申し訳ございません、それはお答え出来かねます………」



「ですよね…………こちらこそ、すみませんでした………ありがとうございました」


私が深々と頭を下げるとおじさんも同じ様に頭を下げた

私が酷く動揺した状態でこのフロントまで来たのは間違い無くきっとおじさんに何かが伝わったのだろう

…………代わりに私に伝わって来たのは恐怖感に似た感情だった

私が宿泊客の有無を伺った本当に始めの会話からおじさんは私に怯えた瞳を向けていた

私は生きてきた人生の中で誰かに恐れられたり怯えられた経験等微塵も無いが初めて向けられた感情は肌で感じる物だった

口ごもりながらも頭を下げたおじさんの姿から推測したのは彼の使った偽名が実在するかしないのかは解らないが権力的な物だったのだろう事で


そして私はやはり彼の事を考えていた

恐れを浮かべる瞳は同時に強い拒絶を連想させる

彼はきっと沢山のあんな………いや、あれ以上の視線を浴びて来ただろう


………彼の自尊心は沢山傷付いて来たのではないだろうか


なんて私は彼のポーカーフェイスに隠された感情を思索するのが癖に成っているらしいが今は



「…………夫婦…………」



おじさんは夫婦が一組宿泊していると話した

ホテルに入った女性が宿泊しているのは間違い無いのだから………


夫婦で宿泊だなんて………其れは彼の事も指しているのだろうか


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