第74章 古城のホテル

女性は一言だって喋っている様子は無いのに口を開いて様子を伺う様に柔らかい表現を浮かべる彼の姿に唇を噛み締めた



(……………いつも私が話しかけてますよね………イルミさん…………)



身が裂かれそうに痛い


涙が滲んで頬を伝っても私は二人から目が離せなかった


隣の人は誰ですかと此所から叫び出したく成って涙声の嗚咽が漏れる


まるで彼の声等無い物の様に無言を貫いた女性は突然立ち上がると彼に背を向ける


そんな時だった


「っ……………」



私は彼と目を合わせてしまった


息を忘れるそんな最中


彼は私に目撃された事等なんでも無い様子で振り返る事も無く直ぐに女性を追い掛けて行った



「………イ…っイルミ"さん………」




深い悲しみが込み上げて私はその場に崩れ落ちた





女性が向かった先はこのホテルだった


あの女性もこのホテルに宿泊していて彼と…………



私を部屋に閉じ込める為に部屋食のある部屋を選んだのだろうか

光る花が咲くと教えてくれたのも彼だ

遠回しに目撃して欲しいという事だろうか………？




もしかしたらターゲットはあの女性なのかと考えたけれどどうしてもそうは思えなかった

彼は私と仕事を遠避けている


……………浮気にしたって彼はもっと巧く……………



…………………あの人が本命………………？



ストンと何かが胸に落ちて私は部屋の扉を開いた