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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第74章 古城のホテル






私達はその後一切の光の無い森の中で今にも降って落ちそうな美しい流星群を見た

その美しさは圧巻だったがそれよりもそっと覗き見た彼の横顔は私を魅了した

印象的で大きな瞳に星を映し出す姿はまるで彼の瞳に宇宙が広がっている様だった


「流れ星に願い事したら叶うんですって」


「……ふーん。」


私達の会話は本当に些細な音量でその声はお互いにだけ伝わり


「何か願いましたか?」


「沙夜子は?」


まるで賑やかな星降る夜を静かに見送った




そして早朝から再びホテルを目指して歩き出し途中で馬鹿みたいに甘い木の実を食べた

通称虫歯の実なんて恐ろしい名前に躊躇していた私だが

実際虫歯に成るという訳では無くそれくらい甘味を感じる成分を分泌するのだと彼が教えてくれた

この世界にやって来て思う事は花や自然環境から社会の仕組み政治や機械に至る迄彼は本当に様々な知識を有していて博識だと感じる

仕事柄なんて彼は言うけれどどれだけ努力をしたって元が悪ければ偏りが出るだろう

彼は元々聡明でその上見えない努力を沢山積んで来たのだろうなんて思った

一般常識からはやはり逸脱しているけれどそんな物が必要無い世界で生きる彼

浮き世離れした雰囲気すらも彼の魅力なので何も言うまい




鬱蒼とした森を歩み続けて時刻は14時を少し過ぎた頃その建物は唐突に現れた

光りを阻む茂みは一変し開けた先には澄み渡る青を湛えた湖が広がり爽やかな風が吹く


「わぁ………!」


そしてその湖と寄り添う様に佇んでいたのは石造りの立派な建物だった

石造りとは言っても素朴な物では無く重厚感漂う佇まいはゴシック建築を思わせ、嵌め込まれた大きなステンドグラスの窓は繊細な模様を描き、その外観は童話やおとぎ話に登場するお城を思わせた


思わず間抜けに口を開いたままでいる私にチラリと視線を向けた彼は


「数日ここに宿泊する。」


夢の様な台詞を落とした



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