ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第73章 愛の実感
「美味しいです!」
「そう。」
「………野宿の時とかに作ったりするんですか?」
「長期だとたまにね」
ワイルド過ぎるとはいえ彼の振る舞ってくれた手料理を食べている事に幸せを感じる
高貴な彼が誰かに手料理を振る舞う所等想像するのも難しく
私だけが彼の手料理を食べられる存在なのでは……なんて少し自惚れてみれば途端に緩む頬
仕事で身に付いたサバイバル術を私に見せたかったのだろうか……
彼女に良い所を見せたい心理が彼に存在するのかは解らないけどそんな風に思われていたら嬉しいと純粋に思う
「イルミさんと一緒やったら私でも無人島で生きて行けそうですね!ワイルドで素敵です!」
「あっそ。」
なんて素っ気ない彼だがその声色は柔らかいものだった
森が暗闇を深くする頃私達は炎を消して茸と向かい合っていた
「毒とか無いですよね……」
恐々彼を見詰めれば
「そんなミスで沙夜子を殺したりしないよ。」
彼は私を真っ直ぐ見詰め返して言葉を紡いだ
私はそんな彼の姿から視線が外せずに固まってしまう
彼の言葉が恐ろしいとは微塵も感じなかった
だけどその言葉には他の何かも含まれている気がしたのだ