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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第73章 愛の実感






セレブな彼から飛び出した山菜というワードが余りにも似合わなかったからである


「この時期なら其なりに取れる筈だよ。」


不釣り合いな言葉を放ち静かに私を待つ彼の姿が可愛くて頬が緩む中「食べられる山菜はね……」なんて木の枝で地面に絵を描き生真面目に教えるものだからいよいよ吹き出してしまった


「……ちょっと聞いてるの」


「聞いてます聞いてます………ブフッ」


「……………何」


「イルミさんってほんまに可愛いですよね」


怪訝に眉を潜め細められた瞳が私を見上げる彼の足元にはどう頑張っても山菜には見えないイラストが描かれていて


「………もう良い。行くよ。」


なんて枝を放り投げて背中を向ける彼はやはり可愛く見えた



彼の言った山菜は茂みを少し行けば沢山生えていて夢中で摘み取る私だが彼は何故か腕組みしながら私をじっと監視しているだけだった


「…………あの………これくらいで良いですかね………?」


今以上摘んでは片手で持ちきれない量に成る

いくら何でも大量過ぎやしないだろうか

私を見守るだけで何もしない彼をじっと見詰める事数秒


「十分だね、食材も揃ったし次は調理。」


背中を向けた彼に付いてテント前へ戻ると其処には



「…………食材…………」


「調達して来た。前みたいに丸焼きに出来る程大きいのが見当たら無かったから沙夜子に調理してもらおうと思って。」


「…………………調理………」


テントの前に並んでいたのは首の無い鳥の死骸、白い毛が深紅に染まったウサギ、そしてピンクと黄色の斑模様が不気味にも程がある茸だった



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