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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第73章 愛の実感






「立派な宿泊施設があるよ、それも多分女の人が好きそうな感じの。」


彼はサラリと答えた後に最も恐れていた発言をした


「まぁ沙夜子の歩調を考えると今日は野宿になるけど」


恐らく仕事関係の物が入っていそうなバッグや私物らしきアタッシュケースの他彼が肩に担いでいたのはいつか見た覚えのある巨大な袋だった


あれを見たのは森の中逞しいウサギを観察したあの日以来で

蘇るは忌々しき笑い声や巨大で気持ちが悪い昆虫……そして猿を食らうプテラノドン…………


みるみる血の気が引いて行く


私は再びあんなホラー体験を間近に控えているのか…………




そんな私の様子をチラリと横目に捉えた彼は


「虫はこの時期殆どいないから過ごし易いよ。」


なんてフォローをくれて

確かに先程から茂みを歩いているが昆虫と遭遇していない事に気が付いた

彼の世界のユニークな動物達も怖いが巨大昆虫がいないという事実は随分と心を軽くする


私の世界に比べ寒暖差が少ないとは言え季節は11月

私達が初のレンジャーキャンプに挑んだ頃に比べれば森は少し寂し気に見えた

深い緑は淡い褐色に変わり踏み締めた足元でカサカサと落ち葉の音が鳴る

すっかり模様替えした木々を見上げながら何気無く息を吐いて
薄い青空に白い跡が残らない事に胸を撫で下ろす私がいた



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