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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第72章 ハロウィンの夜と猟奇の愛






首元で控え目に鈴の音が鳴る


彼が妖艶な雰囲気を漂わせたのはほんの一時の事だった


馬鹿みたいに早い心音を鳴らす私の手を優しく引いて歩く彼の背中を見詰めた先

リビングルームには豪勢なディナーが並んでいて沢山の花で飾り付けられたダイニングテーブルはまさにパーティー会場だった


「わぁ!めっちゃ凄い!」


照明が落とされ間接的な明かりが照らす室内
窓から望む街の光がキラキラと輝き広いテーブルには見た目にも美しい料理が並ぶ

その量も圧巻でテーブルの中央に鎮座する三段ケーキはデコレーションも素晴らしいがとにかく大きい


「………ふ、二人で食べ切れますかね…………」


「無理だね普通に。」


「…………勿体無い……」


「そんな事はどうでも良いよ。」



なんてサラリと言って退ける彼の常識を疑いながらも自然な流れで持たされたグラスに真っ赤なワインが注がれる

艶やかな黒髪から覗く漆黒の瞳が細められ揺れる赤が映り込む様に溜息が漏れる

こんなに美しい人がこの世に存在して良いのだろうか


カチンと合わさったグラスに視線を落とし一口含めば芳醇な香りが鼻を抜けた


「美味しい!!これめっちゃ美味しくないですか!!」


静かな室内に馬鹿みたいに声が響いたが別に良い

そんな事よりもとにかく滅茶苦茶美味しい赤ワインに魅了されてしまった



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