第70章 訪問者の確信

無断で私のマグカップを傾けるクロロさんをガン見していると


「沙夜子、クロロばかり見詰めちゃって……妬いちゃうなぁ♦️」


隣に腰掛けているヒソカさんが低く呟くので苦笑いを浮かべる


「其れより……どうやってイルミと再会したんだ？」


今度はテーブルを挟んで目の前のクロロさんの声に視線を向けて忙しないながらも一旦ヒソカさんをスルーした


クロロさんの疑問に私はこの世界に来てからの経緯を簡潔に話し
その際ヒソカさんに命を助けられ和解した事もしっかりと説明した

どうやらその件についてヒソカさんは全く語っていなかったらしくクロロさんは意外だとでも言いた気な表情を浮かべている

無理も無いだろう

私の世界でのヒソカさんと私の関係は最悪だったのだし、知らぬ間に友達に成っているなんて思いもしなかった筈だ

私自身思いもしなかった


全てを話し終えた私に爽やかな笑顔が向けられ


「ま、無事で何よりだ………それより、さっきは焦ってたけどやっぱりイルミが怒るからか？」


話題は私の経緯から彼へと切り替わる

彼の不機嫌な様子を赤裸々に話してしまうのは何だか気が引けて只苦笑いを浮かべる私の代わりに


「…………彼、沙夜子に酷い束縛をしてるんだ♣️」


答えたのはヒソカさんだった

何とも微妙な言葉を否定すべきか困惑する私に


「………まぁ………アイツは束縛とはヤバそう」


クロロさんが真顔で呟くので否定すべきだと唇を開く


「えっと、束縛というか！心配が故にですよ！私には勿体ないくらい凄く素敵な彼氏ですから！」


口にしたのは事実

………少々彼の猟奇を伏せただけである