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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第68章 ダイエット宣言





何処にも触れずに行き場を無くした腕はソファーに落ち、彼は何も言わずに再び私に視線を向けた


その瞳が先程とは一変し、あまりにも無機質で彼が心中何を思ったのか解らない


しんと静かな室内で只見詰め合う私達


先に口を開いたのは彼だった




「何か飲む?俺コーヒー入れるけど。」


「………いえ」



ギシリと音を鳴らすソファーから立ち上がると彼は普段の装いのままキッチンへと立ち去ってしまった


嫌に早い心音が身体中に響く


彼はいつも私が拒否すれば離れられる加減で私に触れる

私の気持ちを確かめる様に優しい手付き

そして彼自身の気持ちを伝えてくれている様に情熱的にキスをする


私はそんな彼の気持ちを無下にしたい訳では無かった



……しかし結果として何も話せないままで、彼は私に拒否された理由を知らない

昔、お誘いを拒否されると男性は傷付いてしまうと何処かで読んだ

其れが真実なのかは解らないが良い気分では無い事は確かである




暫くしてマグカップを片手にソファーに戻った彼は普段と変わらぬ無表情のままテレビを付けた

全く傷付いていそうには見えなくとも実は繊細で生真面目な人だし傷付けてしまったかもしれないと思えば罪悪感が込み上げる


私は彼の気持ちを無下にしたかったのでは無い

今の自身に幻滅されるのが怖かったのだ



「……あの、お話しが………」



やけに響いて聞こえたのは私が多少なりとも緊張しているからで


ゆっくりと此方に視線を向けた彼を前に短く息を吸い込んで頭を下げた


「先ず、ごめんなさい!」




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