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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第67章 和やかな雰囲気






…………彼に促されるまま乗車してしまった私は確実に共犯者である


何時もなら彼の横顔の美しさに見惚れる場面だが私は固まったまま外の景色を眺めていたのだが

ふと視線を感じてその先を辿ればルームミラー越しに目が合った

ふぅっと吐かれた息の後


「嫌になった?かなり今更だけど。」


無感動な声が響いた

ルームミラーを覗く瞳は私の動向を静かに観察する


嫌になったかと聞かれれば即答でNOだ

盗難は勿論立派な犯罪だが彼の稼業は重罪の暗殺なのだからこの程度で嫌いになっていてはそもそも好きでは無いと思う


私はルームミラーに映る彼では無く、隣に座りハンドルを握る彼の姿を真っ直ぐ見据えた

嫌になったのでは無い、私が正常な神経だからこそ得も言えぬ罪悪感を感じたのだ


「嫌になったりしません!……ただ、びっくりしたし罪悪感が………」


「それは慣れていないから仕方がないね。……沙夜子は一生慣れなくて良いけど。」


「慣れません!」



様子を伺うような眼差しが消えて彼はチラリと一瞬此方に視線を流しただけだった

私は一生慣れなくて良い、とは私には慣れて欲しくないのだなと解釈する

彼はきっと私を犯罪者にさせる気は無く寧ろ無縁であって欲しいと思っている様な気がした


行動を共にしておいて矛盾した思考だな……とも思うが

今のままの私を好きなのだと言われた様で少し嬉しかった

きっと彼に着いて行くにはこれくらい神経が図太いくらいが丁度良い…………



「何処に行くんですか?」


「適当。」


「それも有りですね!」


なんて会話を弾ませた私達は他人の車の中なのに普段を思わせる和やかな雰囲気に包まれたのだった





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