ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第66章 言いたい事はひとつだけ
10月18日
私はヒソカさんと街に出ていた
目的は勿論彼へのプレゼント
わざわざ部屋まで迎えに来てくれたヒソカさんは完全オフモードでジーンズが脚の長さを強調した何とも格好いい姿で登場した
彼への連絡も怠らずしっかりと済ませたし日没迄に帰る旨もヒソカさんにしっかりと伝えている
スーツ姿のサラリーマンやOLさんが行き交う街中でヒソカさんは非常に目立つ
奇術師姿で無い分マシに思えるが下ろされた髪から覗く切れ長な瞳は妖艶な色を放ち白昼の街には異質な気さえする
そんなヒソカさんと並び立って歩いている事を他人事の様に不思議に感じながらも会話を交わしていた
「彼にプレゼントねぇ……何かの記念日?♦️」
「もう直ぐ誕生日なんです!」
「ふぅん、知らなかった♥️」
……………ちょっと気まずい。
彼とヒソカさんは決して友達では無いのだろうけど、其れこそ私が出会うずっと前から知り合いだ
ヒソカさんが彼の誕生日を知らないというのは間柄的に何等不思議では無いのだが知らなかったと言われると気まずさを感じた
咄嗟に知らなかった発言をスルーした私は話しを逸らすべく本題を口にする事にした
「実は目ぼしい物も無くて困ってるんです………予算は18000円くらいで考えてます」
お小遣い大作戦で貯まった資金は22500ジェニーだった
目標額を2500ジェニーも越えた資金に少しプレゼントの値段を上げる事が出来たのだ
とは言え、良い所育ちの彼に贈るには安いのかもしれないが私からしてみれば十分高価な物が購入出来るだろう……なんて考えていると
「沙夜子は何処かで働いてるの?♥️」
ヒソカさんはニッコリ微笑みながら首を傾げた