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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第65章 お小遣い大作戦





……………非常に熱い…………


急に体温が上昇して汗ばむ手を拭いながらも懸命にマッサージを続けてどれくらい時間が経ったのか


「ありがとう。」


終わりを知らせる淡白な声色に私は即座に彼から離れた


「はい。」


「……あ、ありがとうございます!」


差し出されたお小遣いを受け取りながらも視線を合わせられずにいると


「沙夜子、ここに座って。」


なんて言葉に顔を上げれば彼は彼自身の膝をポンポンと叩いていた

………つまり彼の上に座れという事だ


「………えっ」


状況は理解出来ても困惑して立ち尽くす私に


「仕事だよ。……………大体用事って言ったって特に無いし面倒に成ってきたから終わらせたい。」


彼は遂に配慮無しの本音をぶつけた


「この仕事をこなせたら1万ジェニーあげる。だから終わりで良いよね?」


面倒だと言われてしまえば今以上続ける勇気は私には無かった

既に随分な時間彼は私に付き合ってくれているし1万ジェニーは本当にしのびないが貰えるならば即目標額に達して今の状況を終わらせる事も出来る

私の中で目標額がある事を彼は知らないけれど高額なお小遣いは私に付き合わない代わりの慰謝料的なものだろうか……?


ポンポンと叩かれる膝


彼に視線を向ければ 早く と急かされてしまった

ゴクリと唾を飲み込んで私は思い切って彼の上に腰掛けた



瞬間


「違う。こっち向いて座って。」


直ぐ後ろから声が聞こえた

彼を椅子の様にして座ったのだから彼が近いのは当たり前なのだが一気に羞恥が沸き上がった

彼の言葉にぎこちなく向き合って跨がり座れば普段私を見下ろしている端正な顔が私をじっと見上げていた

すかさず腰に回された腕に抱き寄せられ只でさえ近いのに密着する身体に心音が高鳴る最中


「沙夜子からキスしてくれたら1万ジェニー。」


彼の声に息が詰まった


……………私からキス………………?!?!


私からキスした事はある


………あるが………彼が眠っている時だ

その内一度は目を覚まして気付かれてしまったが今の彼は眠りとは程遠くぱっちり瞳が開いている


全身の汗が吹き出し強張る身体、きっと酷く動揺した顔だって真っ赤に違いない



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