ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第65章 お小遣い大作戦
「………………じゃあマッサージして。脹ら脛。」
「はい!」
私としても早い所目標額に達する事は有難い
嬉々としてしゃがみ込み脹ら脛に触れる
ジーンズ越しに感じるしっかりと付いた筋肉にドキリと胸が跳ねるのは致し方無いとして
私自ら彼の身体に触れるなんて機会はあまり無く俄然緊張してしまう
(………………イルミ様のおみ足…………)
衣服に包まれていてはスマートでとても筋肉質だとは思えない見た目なのに………ギャップが凄い………
脚を持ち上げて疲れをほぐす様に揉めば直ぐに1000ジェニーが差し出された
「………あの、さっきから私お小遣いもらう程働いてないんですけど……」
「……………じゃあ前払い。引き続き宜しく。」
ソファーに座ったままの彼に見下ろされるのは心臓に悪い
彼は只座っているだけなのに凛としており気だるそうな表情すらも美しいのだ
気を抜いているのか細まった黒目がちな双眼が私を静かに見下ろしている
特段何を言われた訳でも無いが彼に見詰められ、彼に触れているという状況は私を照れさせるには十分なものだった
真っ赤に違いない頬に気付かれぬ様、俯きながらも脹ら脛を揉んで行く
私が満足しなければ今の状況は終わらない………と思っているのだろう
彼はマッサージの続行を命じた
硬い筋肉に覆われた脚に私の力で果たしてマッサージの効果を成しているのか解らないが懸命に続けていると
彼は無言のままソファーにうつ伏せ
「背中もお願い。」
単調に言った
「あ、はい」
うつ伏せの状態、更には言葉から背中もマッサージして欲しいという事だろう
少なからずマッサージとしての効果はあったのかもしれない
「失礼しまーす………」
おずおずと背中に跨がり乗り背中に広がった黒髪に触れた
背中をマッサージするのだから髪を避けなければ……というごく自然な行動だったのだが
サラリと艶のある髪を持ち上げれば香る彼の薫り
そして普段長髪に隠されたうなじが白く覗いて動悸にも近い胸のドキドキは先程よりも確実に強い物になった
細身に違いない筈なのにその筋骨は逞しく異性なのだと強く主張する