ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第64章 ショッピングモールと私と彼
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広大な敷地の為に全てとまでは行かないが興味のある店は一通り見て回り、私達はホテルに帰って来た
彼はバスソルトを購入した後から普段と変わらぬ無表情を貫いていて私ばかりがいつもドキドキしている………
大量の荷物を床に置いた後に悠々とソファーに腰掛けた彼は徐にテレビを付けるとそのまま動かなくなった
彼は淡白な雰囲気の隙間に妖艶で悪戯な顔を覗かせる
そのギャップは見事なもので私は尽く胸を撃ち抜かれて来た
あの時彼が何を思いあの様な行動をして妖艶な表情を浮かべたのか私には解らないが
……………とにかくズルい
酷く動揺する私の隣でいつも涼しげな彼が私と同じ様にドキドキする事なんてあるのだろうか
例えばあの場面で私が手をなぞったとしたら彼はドキドキするのだろうか…………
……………想像も付かない…………
そもそも彼が動揺する程ドキドキする事等……………
「沙夜子」
「はい!」
沢山の紙袋を前にぼんやり考え込んでいた私だが彼に呼ばれて隣に歩み寄ると彼は見覚えの無い紙袋を私に差し出した
「……………?」
「開けて。」
なんて促されるままに包装紙の中身を取り出して私は歓声を上げてしまった
「マグカップ!」
彼に手渡されたのは色違いのマグカップだった
それもアパートに並んでいるのと良く似たグレーと淡いピンク色
胸が温かく成って涙が浮かぶ
彼とお揃いの物を羨んだ私に贈られたサプライズプレゼントはアパートでの日々を彼が鮮明に覚えてくれている証でもあるように感じて
キーホルダーなんかよりずっと嬉しいプレゼントだった
「いつの間に……ありがとうございます!」
「今日あそこで。」
「………………今日………?」
「うん。」
「………今日?!」
…………彼は確か私の傍を一度も離れていない
朝からずっと一緒だった筈だ…………
「コーヒーいれてくれる?」
なんて彼の言葉にマグカップを見詰めながらも謎は深まるばかりだった
「……え、……今日?」
「…………。」