ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第64章 ショッピングモールと私と彼
次いで賑わいを見せているお土産屋さんを目指す道中、壁ガラスに仕切られた重厚な雰囲気の空間に私は見入っていた
広い空間にはフロントらしき場所とソファー以外に何も無く人も従業員しかいない様だ
………………何屋さんだろう?なんて眺める私に彼は唇を開いた
「其処はホテルだよ。このビルは80階建てなんだけど、50階から上層部は宿泊施設に成ってる。本当はここのペントハウスが一番良いんだけど闘技場と近いから辞めた。」
「そうなんですか!いっぱいお店あるし安全そうですけど」
「如何にも沙夜子が無断外出しそうだね。」
グサリと刺さる言葉に彼を見上げれば彼は冷ややかな視線を注いでいた
これ以上彼を呆れさせない為にも決して無断外出はしない事を心の中で誓った………
お土産屋さんを見て回った後に私達は化粧品売り場に立っている
化粧品一式新品を持って来てはいたのだがそろそろストックしておかないと心もと無い残量に成っていた事を思い出したのだ
彼には場違いな空間に一人焦りながらも異世界の化粧品が果たして私の肌に合うのか手早く吟味する
しかしながら私はもっと重大な買い物を思い出していた
…………絶対的必需品…………生理用品………
背筋に嫌な汗が流れる
私は現金を持ち合わせていない
従って彼が全ての会計を担ってくれている
必然的に購入物はバレるのだ
私は以前最悪な形で彼にお使いを頼み生理用品を購入してもらった事がある
しかし健康な今彼のお金に違いないにしても彼に会計してもらうのはしのびなく感じた
必要な化粧品は吟味の結果手の中に揃っている
辺りを見渡し近場に生理用品のコーナーを見付けた今、購入するなら一緒にしてしまうのが自然だろう
………頭でそう思っていても身体は動かない………
冷や汗を流しながらも私は一歩を踏み出した
………………私も彼も大人だし、女性に生理があるという事は自然な事だと認識している………
逆に今気まずさに負けて再び彼にお使いを頼むなんてもっての他だ
言い聞かせながらやって来た生理用品コーナーで再び汗が吹き出した
そして此所でも異世界故にいちいち吟味しなければならない事に気持ちは焦る