ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第64章 ショッピングモールと私と彼
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洋服や靴を買い揃えてもらい山盛りに成った荷物は車に詰めた
深々と頭を下げて感謝を伝える私を可憐にスルーした彼は何事も無かった様に元来た道へ手を引いた
本来彼は目的を達成すれば足早に立ち去るタイプだ
それは私のアパートで生活していた際に感じた事だった
私が他も見て回りたいと発言したからこそ彼はもう一度施設に向かっているのであって彼独りなら早々に帰路へ付いているだろう
彼はこういう場面でほぼ確実に私の提案に乗ってくれる
『可愛いね、大好きだよ』なんて甘い台詞を囁きながら頭を撫でるなんて事は決してしないが
その分しっかりと行動で私を甘やかしてくれる
彼がくれるのは簡潔な言葉だが私が精神的に甘えられる環境を恩に着せないスマートな行動で作ってくれるのだ
………………ニヤニヤが止まらない
しょっちゅう愛を囁かれるよりずっと良い
再び一階フロアを眺め見てこの場にいるどの男性よりも彼が素敵だと思えば手を繋いでいる事さえも緊張になり身体中が熱く成った
「………で、何処を見たいの。」
なんて私を見下ろす作り物の様に整った顔立ちに慌てて視線を逸らし私が指差したのは本屋さんだった
広い書店はありとあらゆるジャンルが取り揃えられており、まるで図書館だ
彼と並び立って歩きながらも興味のあるジャンルで立ち止まり物色してはまた歩くを繰り返していると
「ついでに欲しいの買っときなよ。まだ暫くここから離れないから。」
なんて声を掛けてくれた
以前彼が買い与えてくれた漫画や小説は今回のホテルに移動するまでに読み切って全て置いて来ている
しかし服まで買ってもらってその上……なんて考えている私の思考は彼に筒抜けらしく
「遠慮されると逆に困る。」
なんて釘を刺されてしまって私は結局漫画と小説合わせて5冊を購入してもらった
彼は時折私には全く理解出来そうに無い難しい分野のコーナーで立ち止まっていて彼個人も何冊か購入したらしく
彼が彼自身の物を購入している光景を何処か新鮮に感じたりした